院長ブログ
薄毛の悩みなくなる!? 脱毛の原因遺伝子発見
(産経ニュースより)
男性ホルモンが関与せず、性別に関係なく起きる脱毛や薄毛の原因遺伝子を、国立遺伝学研究所の相賀裕美子教授(発生遺伝学)らのチームがマウスの実験で突き止め、26日、米科学アカデミー紀要電子版に発表した。
Sox21遺伝子を持たず、頭部から毛が抜け落ちたマウス(上)。その後、全身の毛が完全に抜けた
この遺伝子が正しく働かないと毛髪表面にあるうろこ状の組織「キューティクル」に異常が生じ、頭皮から抜けてしまうらしい。相賀教授らは人でもこの遺伝子が働いていることを確認。同教授は「キューティクルの維持が、脱毛を食い止める治療につながる可能性がある」と話している。
チームは「Sox21」という遺伝子を持たないマウスを作成して観察。誕生後に全身にいったん生えそろった毛が、生後11日目からまず頭部で抜け始め、約1週間で全身から完全に抜け落ちた。その後、再び新しい毛が生えるものの20日前後で脱毛。発毛と脱毛を繰り返した。
チームは、発毛は正常だが脱毛の周期が異常に早まったと判断。通常のマウスでは、キューティクルのうろこ状の構造が毛と頭皮の組織とをかみ合わせる“かぎ”の役割を果たしているが、Sox21のないマウスではうろこ状の構造がなく、毛がある程度伸びると抜け落ちてしまうことを突き止めた。
うろこ状構造を作るのはタンパク質「ケラチン」。Sox21はケラチンを作り出す遺伝子の働きを制御しているという。
現在、男性型脱毛症に使用できる薬剤は「プロぺシア」で、5α-還元酵素を阻害し、その原因物質であるDHT(ジヒドロテストステロン)産生を抑制します。 非常に効果の高い薬ですが、女性には使用できません。
海外で実施した閉経後女性の男性型脱毛症を対象とした12ヵ月間のプラセボ対照二重盲検比較試験(n=137)においても、プロぺシアの有効性は認められませんでした。
ですので、今回の研究では、男性ホルモンに関与しない機序での脱毛に対し、性別問わず治療できる薬の開発に期待が高まります。 プロぺシアと併用することでさらに効果が高まるといったことも考えられるかもしれません。