院長ブログ
熱中症
(産経新聞より)
高温注意情報 苦難の夏を生き延びよう
猛暑の続く中、気象庁が13日から「高温注意情報」の発表を始めた。「翌日または当日の最高気温がおおむね35度以上になることが予想される場合」に熱中症への注意を呼びかけるためだ。
最初の対象日となった14日には、東北から九州までの25都府県で注意情報が出された。
この夏は全国的に梅雨明けが早かったうえ、梅雨の晴れ間にも猛暑日があった。高温注意情報を待つまでもなく、うだるような暑さを連日、体感させられている。
さらに今年は、東日本大震災による原子力発電所の運転停止に伴う節電が行われているところが多い。冷房を我慢したりして、熱中症で倒れる人が急増中だ。
総務省消防庁の速報値によると、今月4日から10日までの1週間、熱中症で病院に搬送された人は4520人に達し、前年同期の約5倍だったという。このうち8人は亡くなっている。
熱中症を予防するためには、炎天下や高温多湿のもとでの激しい運動や労働を避け、疲労を蓄積しないよう十分な睡眠と休養を取る必要がある。もうすぐ夏休みに入るので、子供たちのスポーツ指導に当たる人は、水分や塩分の補給にも気を配ってほしい。
人間はじっとしていても体内で熱を生み出すので、それを外に捨てない限り体温の上昇を抑えることはできない。心臓や血液、体表などを冷やして熱の放出を行うのだが、持病を持つ人や高齢者はそれらの機能が働きにくくなる。
激しい運動をせず、横になっているだけで熱中症にかかるおそれがあるのもこのためだ。
高齢者が多く暮らす地域などでは、風通しなどを工夫して体を冷やせる環境を確保したい。節電中でも気にせずにエアコンをつけて過ごせる「熱中症シェルター」のような臨時施設なども、有効になりそうだ。
熱中症は一般に、スポーツや仕事などの活動中に起きる「労作性熱中症」と、日常生活の中で起きる「非労作性熱中症」に大別されますが、
最近、急増中なのは、非労作性の熱中症です。 特に高齢者が、エアコンなどを控え、脱水と暑熱で数日間かけて衰弱し、発見されたときには重症化していることが多いようです。
とにかく、熱中症と判断したら、身体を速やかに冷却、そしてもう1つの重要な応急処置は補液。水分と塩分を補給して循環を正常化し、臓器障害などを防止します。
飲み物はORS(経口補水液:水1Lに砂糖40g、塩3g)が適していますが、なければスポーツドリンクを薄めても代用可能。
ORSは市販の「OS-1」が、薬局でも手に入ります。
大塚製薬工場が販売する経口補水液「OS-1」
通常の液体のほか、ゼリー状のものもある。薬局で1本200円前後で購入できる。
500mL前後を飲ませ、様子を見ますが、意識障害がある場合は、救急搬送が必要です。
また、脱水があり、意識障害がある場合、心筋梗塞、脳梗塞も疑い、慎重に判断しなければなりません。
最近は、熱中症の警告報道が結構浸透しており、糖分の多い清涼飲料水の飲み過ぎで生じる急性糖尿病である清涼飲料水ケトアシドーシスの患者も散見されています。 ですからスポーツドリンクの飲み過ぎで生じる新たなリスクに関しても、啓発を進める必要があります。 いわゆる、ペットボトル症候群という言葉、重要です。
逆に、食事接種不良から低血糖症状を起こす方も増えています。
低血糖発作や清涼飲料水ケトアシドーシスでは、動悸や口渇、全身倦怠感、意識障害など、熱中症と似た臨床症状を呈することがありますので、これらの疾患も熱中症の鑑別に重要となっています。
とにかく、自己管理がモノを言う季節、皆さま、ご自愛を!(^-^)