院長ブログ
チャンピックスで意識障害の恐れ=禁煙補助剤、年41万人が服用―厚労省
(時事通信社より)
厚生労働省は30日、禁煙補助剤チャンピックス(成分・バレニクリン酒石酸塩)の服用で意識障害を起こす恐れがあるとして、製造販売元のファイザーに対し、医師向けの添付文書を改定するよう指示したと発表した。
指示は7月5日付で、同社は既に改定を済ませた。服用者に自動車の運転などをさせないよう求めている。
同省によると、販売が開始された2008年5月から今年4月までの間、40~70代の男女6人が意識障害を起こし、薬との因果関係が否定できないと判断された。うち3人は自動車を運転中に意識を失ったり、眠り込んだりし、道路脇の側溝に突っ込むなどした。
チャンピックスは脳に働き掛けて、禁煙による禁断症状を抑える薬。使用者は年約41万人。
当院の禁煙治療でも、かなりの効果を上げている「チャンピックス」ですが、
意識障害を起こすことがあるので、自動車の運転をする方には、チャンピックスを処方を控える必要が出てきました。
この7月に「使用上の注意改訂」が行われ、「めまい、傾眠、意識障害等があらわれ、自動車事故に至った例も報告されているので、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。」となりました。
ちなみに、改訂前の最後の部分は「自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。」でした。
チャンピックスを飲んあと「注意をして運転してください」から、「運転はしないでください」に変わったということです。
この改訂のきっかけになったと思われる「症例概要」によると、
60代男性、COPD(慢性閉塞性肺疾患)で、もともとスピリーバという薬を吸入していたようです。チャンピックスを始めて8日目、朝薬を飲んで20分後、車の運転中によだれ、全身の震え、意識消失を起こしたとのこと。気がついたときには道路の側溝に突っ込んだ状態だったということです。
これだけですと、本当にチャンピックスのせいかと疑問に思うところですが、
同じ日の夕食後、またチャンピックスを飲んで20分後、また運転中によだれ、全身の震え、意識消失とまったく同じことが起こり、電柱に衝突しそうになったそうです。さすがにそれ以降はチャンピックスを飲むことはなく、意識を失うこともなくなったとのこと。
これは「再現性あり」ということで、チャンピックスはほぼ「クロ」といっていいのかもしれませんが、無事で済んだことなど、いろんな憶測が残ります。
とはいえ、決定されたことには従わなければなりませんので、チャンピックスを服用される場合は運転、あるいは危険な機械の使用を避けるよう指導しなければなりません。
とにかく、今回のことで、効果を上げている薬が、使用できなくなるようなことがあっては、非常に国益に反するというのは言い過ぎではないと考えます。