院長ブログ
いまのところ、A型が優勢 インフル
インフルエンザがにわかに増えてきました。例年の傾向からいえば、すでに12月中旬ですから、
ややゆっくりした感はありますが、 A型が流行し始めています。
2004-05シーズンや2006-07シーズンはA・B 両型が同時に流行しましたが、2009-10の
パンデミックシーズンでは季節外れの時期に流行しました。 最近の2010-11、2011-12シーズンは
冬季にA型が流行し、その後B型が流行する典型的パターンに戻っているようなので、
今期も同様のパターンになりそうです。
亜型でみると、2008-09シーズンには、H1N1 (ソ連型)のほとんどがH275Y変異により
タミフル耐性となりました。 そして、2009-10シーズンは当初ブタインフルエンザと言われ、
新型インフルエンザと言われたH1N1pdm09(パンデミックウイルス)がすべての年齢層で流行しました。
2010-11シーズンにはH3N2が復活し、H1N1pdm09、H3N2、B型の混合流行となりましたが、
昨シーズン(2011-12)はH1N1pdm09が姿を消し、H3N2に置き換わった形となり、
H3N2とB型の混合流行となったのです。このH3N2ウイルスに何回もさらされているはずの高齢者層での流行、
ワクチンの有効性の低さから、H3N2はこの数年で連続変異が進んでいる可能性が示唆されています。
2011-12シーズンではH1N1、H3N2とも接種後の40倍以上の抗体価保有率は
良好(各々81.5、97.0%)であったそうですが、H3N2については、接種前すでに同抗体価保有率
は83%あり、つまり、すでに免疫力を持っている人が多かったため、ワクチン接種による効果は限定的と考えられました。
B型はいずれのシーズンでもA型に比べ、接種により感染防御機能水準に達する割合が低く、
その傾向は昨シーズンも同様であったため、ワクチン株と臨床株の抗原性の差が問題です。
H3N2のA/ビクトリア/210/2009株については、流行とのマッチングが良好でないことが
関係方面から発表されており、2012-13シーズンのワクチンではH3N2はA/ビクトア/361/2011
株に変わっています。
B型については、国立感染症研究所のデータによれば、ここ数年Victoria系統が流行していたのが、
昨シーズン(2011-12)は山形系統が増えてきていることを反映し、2012-13シーズンワクチンは
山形系統に入れ替わりました。
抗インフルエンザ薬は、9歳以下ではタミフルの使用が大半ですが、リレンザ、イナビル、
ラピアクタ注など各薬剤の効果にはほとんど差はなく有効性が期待出来ます。
昨シーズンは、当院では1日1回で完結するイナビルとラピアクタ注の使用がほとんどでしたが、
やはり注射薬の効果が大きいことは実感しておりますし、吸入薬の効果のむらは、吸引の成功に差が出てしまうのでと考えています。
両薬剤とも、目立った副作用を報告おりませんので、安心感もあり、今期の治療にあたっても不安はありません。
いずれにしましても、インフルエンザは、高齢者、基礎疾患(糖尿病など)患者、小児にとってはやはり脅威であり、
予防、罹患後の速やかな治療で対応していく戦争です。この時期、当方の気合いも特に充実してまいります。
来週の外来もしっかり集中していきたいと思います。
ちょっと気合いの入ったときのガルムです。(^_^;)