院長ブログ
インフルエンザワクチンについて
今シーズンのインフルエンザワクチン株が決定しました。インフルエンザウイルスは抗原性に変異を起こしやすいため、毎年流行するであろう型と抗原性を予測してワクチン株が選定されます。例年2月中にWHOから今シーズンのインフルエンザワクチン製造用推奨株が公表され、それをもとにわが国でもワクチン株選定会議が開催され、厚生労働省に報告、そこで決定されたものが通知されます。ワクチンメーカーは数社ありますが、ワクチン製造株はどのメーカーも同じです。
(2007~2008シーズン)
Aソ連型:A/ソロモン諸島/3/2006(H1N1)株
A香港型:A/広島/52/2005(H3N2)株
B型:B/マレーシア/2506/2004株
HA抗原含有量:ワクチン1ml中に各株のHA蛋白を30μgずつ含有。
毎年、冬になると、インフルエンザの流行が必ず来ますが、ワクチン接種率は悪く、インフルエンザを発症しているかたのほとんどがワクチン未接種であります。 現行のインフルエンザワクチンは不活化ワクチンであるため、有効な防御免疫の持続期間は3ヶ月程度と短かく、毎年シーズン前に接種を繰り返す必要があります。
最近はワクチン製造のためにウイルス培養に使用する発育鶏卵の品質管理、精製技術の改良、エーテル処理による部分分解でウイルス脂質成分の除去などの技術的な進歩により、1971年以前の全粒子ワクチン時代に問題となった発熱や重篤な神経系の副作用は大幅に減少しましたが、逆に全粒子ワクチンに比べると免疫原性は若干低いと評価されています。それでも65歳以下の健常者の発症を70%、一般高齢者の肺炎やインフルエンザによる入院を30~70%、老人施設の死亡する危険を80%減少するとされていますから、ワクチン接種は積極的に勧められる必要があると考えます。
今後は特効薬であるタミフルが使用しにくい状況であったり、はしかの流行があったことから、ワクチン接種をされる方が増えることは間違いないでしょうが、供給が追いつかないというようなことはないと思います。
接種後2週間後くらいから抗体が出来始めることもあり、また効果は3ヶ月~5ヶ月と考えると、11月中に接種されるのが理想的です。
インフルエンザは、かかれば大変つらいですし、他人へも染してしまう感染症です。今年のはしか流行の二の舞にならぬよう、皆さんよく御検討下さい。