院長ブログ
タミフルについて
ほぼ同時に二つの記事が新聞上で出ました。
タミフルは現在、原則として10代の若者には使用禁止となっており、今後
の動向が注目されます。
「タミフル異常死」提訴へ 医薬品機構相手に
高校生の遺族「因果関係明らか」
タミフル服用後に異常行動を起こして死亡した岐阜県の男子高校生(当時17歳)の遺族が、タミフルとの因果関係を否定され、精神的苦痛を受けたとして、副作用かどうかを認定する厚生労働省所管の独立行政法人「医薬品医療機器総合機構」(東京都)に対し、慰謝料100万円を求める訴訟を起こすことが24日わかった。
タミフル服用後の異常行動死を巡る訴訟は初めてで、遺族は週内にも岐阜地裁に提訴する。
提訴するのは、男子生徒の父親の男性(49)。男子生徒は2004年2月、A型インフルエンザと診断され、処方されたタミフルを1錠服用した約1時間半後に、はだしのまま自宅から国道に飛び出し、トラックにはねられて死亡した。
男性は翌年2月、タミフルによる副作用を訴えて、同機構に被害救済を申請。同機構は「異常行動は、タミフルの前に服用していた別の抗インフルエンザ薬・塩酸アマンタジン(商品名・シンメトレル)の副作用」と認定し、遺族一時金などの支給を決定した。
しかし、男性は「直前に服用したタミフルの影響であることは明らか」として、一時金の受け取りを拒否。同機構への異議申し立ても昨年12月に却下されたため、提訴に踏み切る。
厚労省によると、タミフル服用後の異常行動は、5月末現在で211人で、このうち死者は8人。同省は当初、タミフルと異常行動との因果関係に否定的な見解を示していたが、今年に入って異常行動死が相次いだことなどから、従来の見解を撤回し、改めて因果関係を調べている。
同機構の稲川武宣企画調整部長は「訴状の内容を承知していないので、コメントは差し控えたい」と話している。
(2007年7月24日 読売新聞)
タミフル 脳で検出せず
服用後転落死、沖縄の中1
沖縄県内で昨年7月、インフルエンザ治療薬タミフルを飲んだ後、9階から転落死した中学1年男子を調べたところ、脳からはタミフルが検出されなかったことが、福家千昭・琉球大医学部准教授(法医学)らの研究で分かった。
27日に都内で開かれる日本中毒学会で発表する。タミフルが脳に入るかどうかは、異常行動との関連を考える上で、早急な解明が待たれている課題で、安全性を巡る論議にも影響を与えそうだ。
福家准教授らは、タミフルやタミフルが薬効を発揮するように体内で変化した物質が、生徒の各臓器にどの程度あるか調べた。タミフル自体は、どの臓器からも検出されなかったが、薬効のある物質は、血液から作用を発揮する十分な量が検出された。肝臓や腎臓にも高濃度にあったが、脳からは検出されなかった。
福家准教授は「一つのデータで結論は出ない」と慎重だが、タミフルに詳しいけいゆう病院(横浜市)の菅谷憲夫小児科部長は「検出限界以下の量が脳にあった可能性はあるが、常識的に考えて、脳に悪影響を及ぼすとは考えにくい」と話す。
タミフルの脳への影響については、厚生労働省作業部会が、輸入発売元の中外製薬に動物実験の実施を指示している。同社によると、人でのデータは今回の報告が国内では初めて。
(2007年7月24日 読売新聞)
私自身、タミフルが発売以来、数え切れない患者様に処方してまいりましたが、異常行動などの副作用は出現したことはありません。
そもそも、インフルエンザ脳症の可能性のほうが恐いと思うので、タミフルの処方が出来ないことは非常に困ります。
このため、リレンザの使用が増えるのは目に見えていますが、こちらは備蓄の問題で不足する可能性が高いでしょう。リレンザも既に異常行動の副作用が報告されており、使用量が増えればタミフルと同様問題視され、使用しにくくなるでしょう。
タミフルもリレンザも使用したくない、インフルエンザにもかかりたくないというのであれば、ワクチンを打つしかないわけで、、、皆さんもそこのところをよくご検討されてください。