院長ブログ
早期のピロリ除菌、胃がんの予防に効果
胃がんを引き起こすとされるヘリコバクター・ピロリ菌の除菌を、胃壁が変化する「萎縮(いしゅく)性胃炎」発症の前にすると胃がんの予防効果が高いことが、和歌山県立医大の一瀬雅夫教授(第2内科)らの大規模な調査でわかりました。
早期の除菌が有効であることを示すデータで、横浜市で開かれている日本癌(がん)学会で3日、発表されました。
萎縮性胃炎は、胃壁が薄くなり、胃酸の分泌が減る状態。ピロリ菌感染者の約3割に見つかり、10年以上を経てがんになることが多い。一瀬教授らは、1994年以降に、和歌山県で胃がん検診を受けた40歳以上の男性で、ピロリ菌に感染した人のうち、4129人を約10年間追跡し、胃がんの発症率などを調べました。
検診時に萎縮性胃炎と診断された人のがん発症率は、約2%で除菌してもしなくても有意差はありませんでしたが、診断されなかった人では、除菌に成功した人の発症率は0・62%と、除菌しなかったか除菌に失敗した人の1・07%に比べ胃がんのリスクが約40%も減少しました。
H.ピロリ除菌療法は、クラリスロマイシンの耐性菌の出現で、除菌成功率が年々低下していることが問題視されています。東京HP研究会が集めている多施設のデータでは、保険適用になった2001年には79.5%だった成功率が、2003年には70.4%まで低下していました。
このような1回の除菌に失敗した症例に、メトロニダゾールを使った3剤併用療法を行うと、成功率は約9割に高まります。
ヘリコバクター・ピロリ(H.ピロリ)の2次除菌におけるメトロニダゾールの使用が保険適用されることになりました。厚生労働省が8月23日に承認したもので、これにより同薬を使った3剤併用療法が可能になったのです。
承認された適応は、胃・十二指腸潰瘍患者で、従来のクラリスロマイシンを使った3剤併用療法(プロトンポンプ阻害薬、アモキシシリン、クラリスロマイシン)でH.ピロリが除菌できなかった場合の2次除菌です。
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