院長ブログ
咳型喘息
風邪の後に咳だけがいつまでも残る、あるいは鼻水と咳が2週間以上続いているがもともと花粉症などなかった、等、新年早々、咳で苦しんでおられる方の受診が目立ちます。経過が長いだけに近医で治療を受けてから、症状が改善せずに来院される方も多いのですが、どうやら咳型喘息の診断を受けておられるのに、咳止め薬や、気管支拡張薬のみで治療され、吸入ステロイドの使用を躊躇されたために結局は症状を長引かせる、あるいは増悪させてしまう場合が多いように思われます。
わが国で喘息予防・管理ガイドラインが発表されたのは1993年で、内容は現状に即して数年ごとに改訂されていますが、昨年秋の日本アレルギー学会で発表された厚生労働省研究班による調査結果によれば、ガイドラインの認知度は成人喘息、小児喘は7~8割で、開業医と勤務医の間に大きな差はなかったものの、利用度については、勤務医で成人喘息80%、小児喘息78%だったのに対して、開業医では成人喘息57%、小児喘息53%で、開業医では利用度が低かったと報告されています。
すなわち、基本治療薬である吸入ステロイド薬の位置づけがまだまだ不十分であるということです。わが国では長年にわたって気管支拡張薬と抗アレルギー薬を中心とした治療が行われて来たという歴史があり、そのことから脱却できないまま気管支拡張薬と抗アレルギー薬に吸入ステロイド薬を併用するという感覚で治療をされている先生がまだまだ多いということでしょう。気管支拡張薬と抗アレルギー薬(とくにロイコトリエン拮抗薬)も治療に必要な薬ですが、それよりもまず吸入ステロイド薬というのが治療の基本であることを理解し、患者様側も躊躇せずに使用することが肝要です。
逆に、風邪では本来不要であるはずの抗生剤の処方が当たり前のように処方されていることに医者からの説明もなく、患者様からの質問もないということも見直されるべき問題の一つでしょう。
咳が長引く方のなかには、結核などの感染症も隠れている場合もありますので、早めに受診し、正しい診断をしてもらうようにしてください!