院長ブログ
睡眠時無呼吸により死亡リスクが著しく増大
(週刊米国健康ニュースより)
睡眠時無呼吸で夜間の呼吸が妨げられることにより、死亡リスクが増大することがオーストラリアの研究グループにより報告され、医学誌「Sleep」8月1日号に掲載された。
睡眠時無呼吸は、睡眠中に呼吸停止や浅呼吸が生じる障害。過去の研究でも睡眠時無呼吸と死亡リスク増大との関連が示されていたが、一般集団ベースで、あらゆる原因による死亡率と閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)との独立した関連を示したのは今回の研究が初めてと、研究を行ったWoolcock医学研究所(シドニー)のNathaniel Marshall氏は述べている。この研究では極めて大きな死亡率増大が認められており、40歳の人に重度の睡眠時無呼吸がある場合、57歳の正常な人と同程度の死亡率になる計算だという。
今回の研究は、オーストラリア郊外の町Busseltonで実施されている「Busselton健康調査(Busselton Health Study)」に参加した40~65歳の男女380人を対象としたもの。18人が中等度から重度、77人が軽度の睡眠時無呼吸であり、残りの285人は正常であった。14年の追跡期間中、中等度から重度の患者では33%(6人)が死亡したのに対し、軽度患者では6.5%(5人)、正常者では7.7%(22人)であった。Marshall氏は、「この知見は睡眠時無呼吸が致死的疾患であることへの疑いを晴らした」と述べている。
専門家の1人は、今回の研究は、重度のOSAが心血管疾患と死亡に寄与するという考えを補強するものと述べている。しかし、持続陽圧呼吸(CPAP)と呼ばれる一般的な無呼吸症の治療法によるリスク軽減の効果の有無については評価されておらず、軽度のOSAにより有害な影響があるのかどうかについても、さらに大規模な研究を重ねる必要があるという。
同じ号に掲載された別の研究では、米ウィスコンシン大学のグループにより、重度の睡眠時無呼吸によって死亡リスクが3倍になるほか、軽度から中等度の睡眠時無呼吸患者は死亡率が正常な人よりも50%高いことが示された。この知見は、睡眠時呼吸障害への認識を高め、治療を強化する必要があることを強調するものだと研究グループは述べている。
この睡眠時無呼吸症候群には、一般的には様々な合併症が関連し、死亡率が高まると言われています。中等度の睡眠時無呼吸症候群に無治療で経過を見た場合に、5年後に16%、9年後に40%が死ぬとも言われています。(ただしこの死亡率に関しては1988年のカナダの論文が根拠となり、倫理的にも“治療をせずに死亡率を調査すること”が許されないので、他に死亡率に関する論文が無いらしいため、正確な数値とは言い切れないとされていました。
しかし、今回、やはり睡眠時無呼吸は致死的疾患であるという証拠を上げられたことになります。
自覚症状がある場合、迷わず検査を受けておかれた方がよいでしょう。