院長ブログ
日本脳炎、幼児感染ご用心 予防接種中断で免疫持たず
[日本経済新聞より]
東アジア地域特有の感染症「日本脳炎」ウイルスの免疫を持っていない幼児が増えている。中学生がワクチン接種の副作用で寝たきりになり、2005年以降、自治体による予防接種が事実上中断しているためだ。来年4月には従来の問題点を改善したワクチンが供給される見通しで、専門家の間では、義務的予防接種を再開すべきだという声が高まっている。
「夏休みで旅行に行こうと思うのだけど、大丈夫でしょうか」「ワクチンはありますか」。今夏、鹿児島県健康増進課や保健所には、こんな問い合わせが相次いだ。いずれも幼い子供が日本脳炎に感染するのを心配した母親からだった。
現行の日本脳炎ワクチンは、日本脳炎ウイルスを感染させたマウス脳の中でウイルスを増殖させ、高度に精製し、ホルマリン等で不活化したものです。 ワクチンの精製度は極めて高いのですが、極めて微量ながら脳組織成分が残存する可能性や、不純物が混入する可能性が完全に否定できるものではありません。一般的な副反応としては、発熱、注射部位の腫れや痛みがみられます。
ADEM(アデム、急性散在性脳脊髄炎)とは、ワクチン接種後、通常数日から2週間程度で発熱、頭痛、けいれん、運動障害等の症状があらわれます。
ステロイド剤などの治療により完全に回復する例が多く、良性の疾患とされていまが、運動障害など神経系の後遺症が10%程度あるといわれています。
70-200万回の接種に1回程度、きわめてまれに発生すると考えられ、万が一発症しても通常は軽快し、その後の再発はみられません。
組織培養法によるワクチンは、試験管内で培養したヒトや動物の組織・細胞でウイルスを増殖させるため、理論的には接種後のマウス脳成分による問題が起こる可能性はなくなり、リスクはより低いものと考えられています。
日本脳炎ワクチンの接種は海外渡航の際に義務付けられてはいませんが、状況によっては推奨している国もありますので、流行地域(朝鮮半島、台湾、中国、ベトナムなど)へ渡航するなど、日本脳炎に感染するおそれが高い場合には、接取しておいたほうが安心でしょうが、そうでないなら、新ワクチンを待ってもよいのではないでしょうか?!